1.はじめに:学生との対話における反応の重要性
教職員が学生と対話を行う際に、
アクティブリスニングが重要であることは「質問の仕方」編ですでに述べました。

アクティブリスニングを支える重要な技法の一つが、
適切な「反応」です。
今回は、学生とのコミュニケーションを深めるための効果的な反応の仕方について詳しく見ていきます。
2. アクティブリスニングと反応の関係
アクティブリスニング(能動的傾聴)は、学生が何を考え、どのような感情を抱いているのかを理解しようとする姿勢です。
ここで重要なのは、相手の話に対してどのように反応するかです。
適切な反応は、学生に“自分は理解されている”という感覚を与えることができ、
彼らはさらに安心して話を続けるようになります。
3. 言語的反応と非言語的反応:両者をバランスをよく活用する
学生との対話において、効果的なコミュニケーションを実現するためには、言語的反応と非言語的反応をバランス良く活用することが重要です。
つまり、言葉だけでなく、教職員が示す姿勢や表情、ジェスチャーも、
学生が安心して話を進めるための大きな要素となります。
言語的反応の重要なポイントは、学生の発言に対して肯定的なフィードバックを行い、共感を示すことです。
あなたがその課題に真剣に取り組んでいる姿勢は、とても良いと思います(肯定的フィードバック)
それはとても難しい状況ですね。あなたがそのことで悩んでいるのも無理はありません(共感を示すフレーズ)
心理学者Mehrabian(1971)の研究によると、感情的なメッセージの伝達には、非言語的要素(表情、アイコンタクト、体の動きなど)が非常に大きな影響を与えることが分かっています。【メラビアンの法則】
- 優しい表情
- 適度なアイコンタクト
- うなずき
- 微笑み
- 身体を学生に向ける
- 少し前傾の姿勢
これらの言語的・非言語的反応を組み合わせることで、教職員はより深い理解や共感する姿勢を学生に伝えることができます。
4.具体的な反応の技術(応答技法)
カウンセリングの訓練でも実践されることの多い、「応答技法」についてご紹介します。
ぜひ実際の学生との関わりに活用してみてください。
リフレクションとは、相手が言ったことを簡潔に要約し、確認する技法です。
これにより、学生は自分の考えや感情がしっかりと理解されていると感じ、自らの発言に対して自己確認を行うことができます。

最近、授業の内容が難しくて、ちょっとついていけてないんです。



授業内容が難しくて、ついていけていないと感じているんですね
パラフレーズとは、相手の言葉を少し異なる言い回しで繰り返す技法です。
これにより、相手の発言を確認しながら、対話を深めることができます。
リフレクションと同様に、学生に「自分の言葉が理解されている」という感覚を与えることができます。



最近、研究内容が難しくて、ついていかなくなるんじゃないかと不安です、いただいた課題もなかなか終わらなくて、ストレスがたまります。



研究内容が難しいと感じていて、課題もなかなか終わらないから大変と感じているんですね
5. まとめ
学生との対話における反応の仕方は、信頼関係を築くための重要な要素です。
言語的な反応(肯定的フィードバックや共感)と非言語的な反応(表情、姿勢、沈黙)を組み合わせることで、学生は「理解されている」と感じやすくなり、自己開示が進みます。
今回ご紹介した様々な技法を、普段の学生とのコミュニケーションにお役立てください。