1.はじめに
教職員の皆さんは、日々、部局(部署)のミッションの達成に向けて奮闘されていることと思います。「居心地がよいチームの中で、やりがいを感じながら、目標を達成したい!」という想いを実現するために、私たちはどのようなチームを作っていけばよいのでしょうか?また、成果を上げることができるチームとは、一体、どのような特徴を持っているのでしょうか?ここでは、企業が行ったリサーチから浮かび上がってきた「心理的安全性」の重要性について紹介していきます。
2.効果的なチームの条件とは?:Google社のリサーチ結果から
Google社は「効果的なチームを可能とする条件は何か」という問いに対する答えを見つけ出すため、プロジェクト(2012年~2015年)を立ち上げ、リサーチを行いました。社内180のチームからデータ収集を行い、数百におよぶ変数がチームの効果性にどう影響するかを調べました。その結果、研究チームは、真に重要なのは「誰がチームのメンバーであるか」よりも「チームがどのように協力しているか」であることを突き止めています。 チームの効果性に影響を及ぼす因子として5つが見出されています(図1)。その中でも、チームの効果性に最も重要な影響を及ぼすのが「心理的安全性」であることが明らかになっています。心理的安全性の高いチームは、離職率が低く、収益性が高いことが報告されています。

3.心理的安全性とは?:その定義と測定法
近年、組織開発や人事の業界において「心理的安全性」が注目を浴びていますが、チームにおける「心理的安全性」の重要性を最初に実証したのは、Edmondson教授(ハーバード・ビジネス・スクール)です。彼女は、心理的安全性を「対人関係のリスクを取ってもチームは安全であるという共有された信念」(Edmondson,1999)と定義しています。心理的安全性は、7つの質問項目(表1)に回答することで測定されています。簡単に言えば、心理的安全性が高いチームとは、チームメンバーの目を気にせずに思っていることを率直に発言できるチームのことです。
あなたが所属するチームのことを思い浮かべてみてください。そのチームに対して、あなたはどのように感じているでしょうか?
表1.心理的安全性を測定する項目
1. このチームでミスをすると、不利に扱われることが多い(R)
2. このチームのメンバーは、問題や難しい事態を提起できる。
3. このチームのメンバーは、自分と違うという理由で他の人を拒否することがある(R)
4. このチームではリスクを取っても安全だ。
5. このチームでは他のメンバーに助けを求めることが難しい。(R)
6. このチームには、私の努力を故意に損なうような行動をする人はいない。
7. このチームのメンバーと一緒に働くことで、私のスキルと能力が評価され活用される。
※全くそう思わない(1点)~非常にそう思う(7点)の7段階で評定し、合計点数が高いほど、心理的安全性が高いと評価されます。
(R)は逆転項目で値を反転して集計します。
4.まとめ
(1) チームの効果性に最も大きな影響を及ぼすのは「心理的安全性」であることが明らかになっています。
(2)あなたが所属するチームでは、チーム・メンバーが安心して発言ができる雰囲気があるでしょうか?
成果の上がるチームを作っていくためには、チーム・メンバーが心理的安全性を有していることが重要です。
引用文献
①Google(2015)Re Work:Understand team effectiveness.
https://rework.withgoogle.com/en/guides/understanding-team-effectiveness#introduction
②Edmondson,A.(1999)Psychological Safety and Learning Behavior in Work Teams. Administrative Science Quarterly,44(2),350-383.